Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 吊られ人

吊られ人の鞍茶。中央の鏡に色が映る絵

鞍茶

逆位 · #8B4513

古き牌にて、人は吊され、片足の踝を横木に結ばれ、腕は背にあり、頭は下へ傾き候。牌が転ずるとき、世はその休らひを拒み、休らひはその意味に抗ひ候。静止は聖域には御座なく、罠と成り候。男はなほ吊られたるまま、遅れの明かすものを見むとせず、空を蹴り候。綱は上なる木へ食い込み候。幾世紀の過ぎゆく手、重みと天候とに滑らかに磨かれし、同じ木に候。牛の肩を横切る軛を形作り、鞍の座を枠取る、同じ材に候。圧力と汗とに成形され候。荷は重く候へども見慣れ、仕事と歴史とより引く一種の抗ひに候。その革の色は鞍茶に御座候。

草原にて、鞍は馬の背に休み、革は広き開きし地を長き騎行にて伸び、皺寄り候。職人の手は、それを形作りし記憶にて硬くなり候。釘を皮と鞍木へ打ち、乗り手と獣との両方に合ふ曲線を辿り候き。その鞍は道具のみには御座なく、労働の記録、なされし旅となほ拒まれし旅との地図に候。厩の薄闇に半ば忘れられて待ち、乗り手が乗らむとする日、腹帯があまりに緊く締められ、譲らぬを見出し候。乗り手は降りむとせず、容赦なき握りに力み、時に手放すことのみが前への道なることを忘れ候。

別の国にて、厨の卓は同じ硬き木より成され、年月の傷を負ひ候。麺麭の捏ねらるる場所、泥の小道を歩きたる後に靴の擦り浄めらるる場所に候。卓は強情の記憶を抱き、黄昏の落ち着くときさへ休むを拒む手の記憶を抱き候。その上に、焙りたる栗を満たせる鉢が坐し候。殻は硬く割れ、忍耐ある仕事の後にのみ明かさるる一口に候。土の香りは滞り、火の温みと、炉に黒くされし鍋より注がるる珈琲の味と混じり候。昔、旅人はこれらの材より建てられし路傍の旅籠に休らひ、三本足の床几の上に坐し、雨が雨戸を打つあひだ、外の嵐は過ぎむとせず候き。

停止せる瞬間、馬具と鞍と卓とが手段には御座なく荷と成るとき、休息を受け入れ得ぬ者に取り憑き候。ここに警告が御座候。馬の疲れ果てたるときになほ騎り、手の生々しきときになほ働き、庭の樫の下の床几の招きを無視することに候。古き森にて、同じ丈夫なる幹は荷車の輪のために割かれ、地を区切り労働の強情なる境を印す柵杭のために割かれ候き。世は休らひを供へ候へども、それに遭ふ者のすべてが聞かむとはせず候。

今日、貴殿は戸口の古き革靴を磨き、多くの歩みの作りし皺を世話し候へ。厨の卓にて生地を捏ね、掌の下の重みと木目を感じ候へ。木の床几にしばし坐り候へ。冷ゆる盃の長さのみにても候。あるいは栗を集め、忍耐ある手にて開き、ある殻は強ひることをやめて正しき触れを待つときにのみ譲ることを思ひ出だし候へ。

今日の色は鞍茶に御座候。
Lucky Color: SaddleBrown — #8B4513一日の仕事をしばし休ませ候へば、静けさそのものが教へに御座候。

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