隠者
IX
正位
山の上の一人、掲げたる灯が御座候。隠者は、世を捨てたる人には御座なく候。灯を高くするために人混みより離れたる人に御座候。
答へは遠くの峰にあるには御座なく候。灯の届く数歩のみが、今の道に御座候。孤独は罰には御座なく候。音を減らして足元を聞くための時間に御座候。
今日のこの牌は、助言を増やすより、自らの灯にて照らせる範囲のみを歩くことを象り候。
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金 今日は静かに貴き物を尊び、灯の光を貴殿の手の近くに留め候。
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淡黄 静けき祝ひは優しき照らされたる日のためにて、灯の円は足り候。
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砂色 貴殿は騒音の中にも静けさを携へ、忍耐の歩みが道を明かし候。
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濃砂 静けきを簡素なる儀式の中に携へ、高き道は昔のまま静かに待ち候。
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革色 孤独を灯となし、静けき仕事が身を支へ候。
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木茶 灯を近くに保ち、堪へ続くる物の力を頼み候。
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赭 静けき道は土と仕事の賜にて敷かれ、貴殿は要る物を携へ、心して目的と共に歩み候。
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古白 先の道のための、優しき灯に御座候。
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砂白 孤独の心の中にて小さき慰めは光り、隠者は灯を携へて歩みを続け候。
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小麦 静けき収穫を貴殿は携へ、貴殿の孤独は豊かに候。
逆位
灯は内側に向きすぎて、道を照らし候はず。孤独は知恵には御座なく、隠れ場所と成り候。あるいは、山を降る時期に候へども、まだ峰に席を占め候。
隠者が逆位となれば、距離を置くことが目的と成り候。人の声を全部、騒音として閉じ候。
今日のこの牌は、灯を一度外へ向け、誰か一人の道に光の届く高さを確かめることを象り候。
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黒 退くことは道となり、世は貴殿の戻りを待ち候。
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夜青 山の沈黙に留まることは、時にその境を知ることに御座候。
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紺 静けきに堪へ、それを船の底荷となし、灯の消えし後も旅は続き候。
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薄墨 山に留まる者には沈黙を尊ぶ道あり、今は孤独を庇ひの形となし候。
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石鼠 最も高き尾根にても小さき労働を貴殿の灯となし、沈黙の中の安定は望の形に御座候。
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濃石鼠 灯の消えし後にも、石の中に安定は御座候。
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鼠 山の天候が貴殿の歩みを導き、灯は消えども道は貴殿の物に御座候。
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雪白 貴殿は要る所に静けきを、望む所に温もりを見いだし候。
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煙白 沈黙の集まる席を記し、道は変らず待ち候。
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茶 堪へることは己の値を見いだし、堅き物と共に留まり候。