二つの鍵は、古き聖所の拱の座に坐す師の足の下にて交はり候。手は葡萄の房の模様にて縫ひし衣の上に休らひ、厚く皺みて、知られざる世紀を通じてこれを葡萄酒に圧しし手の如くに候。傍らにて、二人の侍者は頷きあるいは言葉を待ち、靴は神殿の敷石より塵にて候。前なる祭壇は杯と重き書とにて整へられ候。響が広間を満たし、そこでかつて発せられし祈の一つ一つが今なほ空気に乗るかの如くに候。
指示は受け継ぎより来たり候。師は推羅の商人の物語を語り候。その手は、幾千にて割り開かれし骨螺の殻の染を帯び、染は海の収穫より上げられて世界を越えて交易され候き。王と祭司とのための衣は、多くの労の中に浸され、その重みは布のみにては御座なく、一代より次の代へ紡がれし儀式によりて運ばれ候き。祭服の襞の中にて、師は天鵞絨の一片を保ち、柔らかく、触れれば囁く毛並にて、かつて聖められし者の手のために取つて置かれ候き。拇指にて縫ひ目を辿り、手順を覚ゆ候。集むること、煮ること、仕上げの豊かさをもたらす丁寧なる仕事に候。神殿の後ろの庭にて、菫の房は冷き土を押し上げ、顔を空へ向け、その香はこれを世話するために跪く者の袖に残る柔らかき匂ひに候。
神殿の向ふの都は目覚め候。屋根ある市にて、商人は乾きし李を整ひたる積に並べ、皺みて甘く、その肉は旅人と子どもとを同じく養ふことを約し候。路地を下り、静なる扉の上にて、看板が和き風に揺れ、擂鉢と擂粉木とを示し候。薬屋にて、根と乾きし花弁とを碾き、熱を和らげあるいは深き眠を招く浸しを作り候。雨は降り始め、緩く絶えぬ洗ひにて屋根を暗くし、古き大聖堂の彫りし楣の下に待つ者の臂に玉を結び候。内にて、祭司の手は天鵞絨の布を祭壇より上げ、心を用ひて折り、前の夜になされし如く、また再びなされる如く、古き櫃に錠を掛け候。
今夜、手順は明らかにて聖められ候。静なる隅にて、娘は編むことを学び、毛糸は祖母より渡されし紡錘にて紡ぎし綛より引かれ候。編の一つ一つは祈、時刻を遡る繰り返しに候。祖父は重き書より声に出して読み、言葉は記憶と手との長き鎖を通じて保たれ候。ある者は季節の最後の葡萄を圧し、皮は甘さを漏らし、月の昇るあひだ醗酵せしむるために粘土の鉢に集められ候。侍者は庭より菫を集め、一握りを懐に挟みて、夜を通じてその香を分かち候。
貴殿は最初の雨の後に外へ踏み出して、菫の匂ひを吸ひ、地と水との生ける記憶の周りに手を杯にし候。乾きし李を碾きて単純なる保ちになし、麺麭とともに食し、あるいは遅き葡萄の肉を圧してその汁を啜り、前に来たりし手の覚えとなし候。天鵞絨あるいは柔らかき羊毛にて縫ひあるいは編み、貴殿に技を教へし者の仕事と忍耐とを敬ひ候。静なる窓の下にて古き書より声に出して読み、言葉をして貴殿を前なる声の長き卓へ繋がしめ候。
今日の色は紫に御座候。
Lucky Color: Purple — #800080布あるいは花、風に削られし伝統、祭壇に置かれし鍵に御座候。