Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 教皇

教皇の小麦。中央の鏡に色が映る絵

小麦

正位 · #F5DEB3

今夜、神殿の扉は開かれ、幾代の掌によりて滑らかに磨かれ候。内にて、高き穹窿は低き唱にて響き、教皇の祭服は石の床を掃ひ候。祝福に上げし手は一対の鍵を持ち候。一つは古き鉄、一つはより新しくして明るく候。足もとに二人の侍者は跪き、衣は収穫の束の如く集められ、頭は待ちの中に垂れ候。式は突然にも大声にも御座なく候。模様づけられ、受け継がれ、測られ、年長者より弟子へ、先祖より子どもへ渡されし通路に候。

外にて、畑は神殿の涼しき影の向ふに、測りたる列にて伸び候。茎は直立して立ち、忍耐と労との生ける記念に候。これは野の生育には御座なく、世紀の手の播き、刈り、集むることの結果に候。空気は刈りの直後の土の香を運び候。地の物語は神殿の石の一つ一つに、戸口に積まれし袋に、定まりし手によりて磨かれし碾き石に、従ひの者の草鞋に捉へられし塵に押され候。入ることは儀式の中へ歩むこと、前に来たりし者の作りし溝に従ふことに候。

遠き平原にて、緩く動く雲の層をなしし空の下、同じ穀物は教皇の卓にて割らるる麺麭と成り候。塊は濃く単純にて、石と石とのあひだに碾きし粉より作られ、前の手より学びし手によりて捏ねられ候。卓は華やぎなく整へられ候。麺麭、杯、土器の皿に候。食事は印にて、伝統の体、共同体の養ひに候。瞬く灯火の中にて、麺麭は輝くかに見え、掌より掌へ渡さるる供へ、月光と日とによりて収穫せられし畑への手に触れ得る繋ぎに候。

神殿を囲む村にて、穀物は麺麭以上のものに候。嬰児の仮寝する柔らかき筵にて、昨季の茎より、黄昏に静かに語る女によりて織られ候。年の転じに柱へ結ばるる束にて、風が窓を鳴らし地が足の下に凍るときにも古き仕方の続く印に候。緩き川の川舟は収穫を遠き都へ運び、船倉は約束にて満たされ候。忙しく市にて、穀物は測られて交易され、秤は均衡し、商人と買ふ者との一つ一つは信頼によりて結ばれ候。

嵐を帯びし夜、教皇の声は風の上に立ち上り候。神殿の壁は、飢に備へて櫃に収められし穀物を覆ひ候。一つの灯が低く燃え、その油は櫃を満たす同じ収穫より絞られ候。この静けさの中にて、穀物は宝であると同時に師として立ち候。強く、謙にて、世話によりて増され候。土より種へ、収穫より炉への旅は、それ自体が式にて、終わりなき巡り、手より手へ渡る鍵の中に響き候。

今夜、ある者は手にて碾きし粉を用ひて麺麭を焼き、指先の下に穀物の物語を感じ候。今一つの者は乾きし茎より小さき筵を編み、記憶より古き技を敬ひ候。黄昏に、ある者は収穫の一部を隣のために取つて置き、連続の静なる行ひとなし候。眠りの前の静けさの中にて、穀物の一握りを持ち、その重みをして、忍耐と、土と、儀式とを貴殿に思ひ出させ候。

今日の色は小麦に御座候。
Lucky Color: Wheat — #F5DEB3古き仕方は、貴殿の手の中に静かに集まり候。

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