教皇
V
正位
二人の学び手の前に、坐る人が御座候。鍵、しきたり、手より手へ渡る型。教皇は、一人にて発明せずともよき知恵の牌に御座候。
伝統は、過去の人々がすでに踏みたる段差に御座候。儀式、師、制度、繰り返されて残りたる言葉。それに従ふことは自らを消すことには御座なく候。大きなる部屋の席に着くことに御座候。
今日のこの牌は、すでに誰かが通したる道を、手順のままに歩むことを象り候。
逆位
型は中身より重く成り候。鍵は扉を開くためには御座なく、扉を占むるために握られ候。あるいは、いかなる師の言葉も届かず、自ら一人の流儀のみが正しき席と成り候。
教皇が逆位となれば、学びは所属の証明に変はり候。問ひは無礼と成り、儀式は形のみ残り候。
今日のこの牌は、教はりたる手順のうち、今の問ひに応へざるものを一段階疑ふことを象り候。信ずることをやめるには御座なく候。鍵がまだ扉に合ふかを試し候。