Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 教皇

教皇の古亜麻。中央の鏡に色が映る絵

古亜麻

正位 · #FDF5E6

大なる広間は、拱の天井の下にて静まり候。鍵は高く持たれし輪より輝き、祭服は大理石の段を下り、静けさは沓の柔らかき擦れと、二人の静なる侍者の抑へたる咳とのみによりて破られ候。儀式は古く、生ける記憶のいづれよりも古く、規律の建築の中に収まり候。彫りし柱、床の嵌石、石の一つ一つの中の掟の響に候。この神殿にて、掟は受け継がれ、発明されず候。教皇は世紀の重みをもつて主宰し、日々の式を通じて伝統の流れを導き候。

聖なる物のあひだに、布あり、繊細にて物語を帯び候。細き網にて、前の者より学びし手が労して輪をなし、しかる後にその技を結びより結びへ渡し候き。この布は、かつて主婦の顔を帷ひ、あるいは祭壇を覆ひしものにて、静なる部屋にて過ごしし午後を囁き候。木の糸巻が薬指に当たりて音を立て、糸の緩き螺旋が光の円の中に解くることに候。大なる家にて、これは亜麻の縁を飾り、洗練の印に候き。村の礼拝堂にて、古き祈祷書を綴るに用ひられ、頁の折れし角を和らげ候き。細羅は、かつて境を越えて交易され、かつて王によりて税せられ、息と同じく薄く、祈と同じく耐へて、歴史を流れ候。

この糸の仕事は、その内に幾代の足音を運び候。花嫁が身廊へ踏み入る前に神経にてこれに触れ、子どもが輪を数へて忍耐を学び、寡婦がこれを抽斗に折ること候。言葉なき言語、宴と夜伽とを同じく卓の上の印に候。これを扱ふことは、世話の儀式に加はること、美の忍耐強くあり得ること、忍耐の美しくあり得ることを認むることに候。教皇の手の中にて、これは職の衣と成り、聖と俗、導く者と求める者とを分かつ縁に候。

ある地方にて、この技は湿りて霧の町に家を見出し、海の寒さが炉の傍らの長き夕を必要とせしところに候。そこにて天候は石の小屋に押し、なすべきは糸を巻きて物語に聴くことのみに候き。細羅は飾り以上のものと成り候き。生き延びの記録、緩き季節を通じて手を占め置くこと、繊細なる労によりて縫ひ合はされし共同体に候き。後に、煙る都の客間にて、これは志の印と成り候き。婦人と紳士とは茶の杯の下に細き布を置き、趣味と習ひへの従ひとを示し候き。狭き窓の店はこの布の束を並べ、市は商人の呼びにて響き候き。

今日、貴殿はこの受け継ぎのいくばくかを、机の最も下の抽斗、あるいは嫁入の櫃の中の折り、あるいは今なほ家の祭壇の縁を飾るものの中に見出し候。これを敬ふには、手にて何かを繕ふ時を取り、繊細なる模様にて縁取りし文の紙に礼の文を書き、あるいは静なる部屋に坐して、貴殿自らの家の亜麻に包まれし物語を思ひ出し候。機会あらば、技を渡し候。布巾を心を用ひて折り、子どもに結を教へ、あるいは過去を現在へ糸にて通す記憶を単に分かつことに候。

今日の色は古亜麻に御座候。
Lucky Color: OldLace — #FDF5E6伝統を静かに携へれば、道は柔らかく照らされ候。

教皇へ戻る