Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 星

星の薄墨。中央の鏡に色が映る絵

薄墨

逆位 · #696969

かつて庭を養ひたる流れが自らの縁にて止まる瞬間が御座候。池の面は沈黙にてひび入り候。かつて瓶は手より水へ弧を辿り、涼しさを汲みて根のあひだに散らし候き。今、それらの器は平らなる岩の上に空にて休み、それを運びたる者に忘れられ候。夜は星にて寛大に候へども、地と空とのつながりは静けさの中に掛かり、与ふることと受くることとのあひだの場所は世話されず候。

世界はこのやうな瞬間を静かに運び、目的の滑り去る隅に隠され候。天候は時に厚くして低く転じ、都を消されたる静けさにて覆ふ霞に候。遠き煙突よりの煙、去年の冬の薪の残りは、屋根の上の緩やかに動く帳と成り候。古き街にて、舗石は擦られて塵にて磨かれ、かつて車の音を立てて過ぎたるところ、その面は粗く候。田舎にて、先祖の築きたる石の壁は辛抱なる沈黙の中に立ち、その面は幾年の雨と風とにて鈍り候。これらの壁は畑を保ち、播かれたるものと野生のものとを分ち、各々の石は分つるか護るかの小さき決定に候。

台所にて、鋳鉄の鍋が御座候。底は時と用とにて熟され候。竈の奥に坐り、次の食事を待ち、その面は多くの火の記憶を抱き候。柄は朝の最初の静けさにて触れれば涼しく候。近く、かつて光りたる土瓶は、今は磨かれざる白鑞の微かなる柔らかさを示し、沸騰する水の急きに変はらず候。抽斗の中、幾代前に紡がれたる羊毛の長さが御座候。厚き靴下の対に編まれ、畳まれて、より寒き日のために脇に置かれ候。これらのものの各々は、頼み得て、目立たず、執拗に候。

風景は、秋の終わりに近づくとき似たる衣を帯び候。遠き荒野と高地の道にて、古き岩の上の低く横たはる地衣の色は、雨の後の橄欖の樹皮に響き候。世界は息を止むるかの如く、最初の霜を待つかの如く候。霧が川に沈み、向ふ岸を隠し、向ふ側よりの鐘の音のみが、聞く者に世界の続くことを保証する日が御座候。神話にても、ほとんど導きを供へざる空の下、山の峠を越ゆる旅人の話が御座候。星の光はそこに候へども、道は照らしより記憶により導かれ候。

今日、ある人は旧き道具に与へらるる同じ柔らかき世話にて靴を磨き、用に足るものを復し候。石の壁か都の歩道かの縁に沿ひて歩き、苔の育ち小さき生の続く場所を見出し候。静けき一時間を脇に置き、見慣れたる薬缶のほかすべてを払ひたる机にて手紙を書き、湯気の緩やかに確かに上るを見候。或は、夕の近づくとき、擦りたる毛布を肩に巻き、窓の傍に坐り、遠き星の最初の火花のために空を見候。

今日の色は薄墨に御座候。
Lucky Color: DimGray — #696969辛抱と常のものの静かなる堪へが貴殿を支へ、世の控えめなる道が導きに御座候。

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