池の縁は乾き、水はもはや草に届かず、沈黙は星の遠き光の下に澄み候。二つの瓶は置かれたるところに坐り、その粘土は日より温かく、塵を集め候。夜は開き候へども、何かが退き候。希望の流れは中断され、汲みて注ぐ行ひは今のところ終はり候。地は裸にて、水の記憶にて肌理を持ち候。空の瓶は忘れられず、止まるのみにて、その周りの場所は古くして待つやうに感じ候。
象徴の円の先、別の世界の跡が現はれ候。緩き泥と、布に押されたる砂の場所に候。熱の中に塵の上る地より、人はかつて水の揺らめきのために地平を見守り、開けたる平原を動く者のために頑丈なる綾織が織られ候き。それは旅人と兵のために裁たれ綴られ、褪せたる畑と、乾季の終わりの土と、ひびの入りたる岸と失はれたる川床と混じるために意図され候き。かつてそれは生存の色のみにて、実際より生まれ候き。遠き戦の兵は地の塵の中に制服を擦り、布が地そのものと同じ色を着るまで候き。その色は砂色に候き。
井戸の低きときにも、自らがどこに立つかを知ることにある種の安心が御座候。風は草を動かし、空は押し下り、明るくして屈せず候。庭にて、種は表面の下に休み、雨の徴を待ち、その時は未だ来らず候。縁側にて、帆布の靴が戸の傍に坐り、その面は日と用とにて粗くされ、長き歩きの記憶が縫ひ目に抱かれ候。庭の椅子の褪せたる覆ひは、去年の夏の夕の跡を抱き候。戸棚の中、かつて張りて正式にてありし擦りたる衫が、今は柔らかくして見慣れ、涼しさの帰りて家事の柔らかき日を待ち候。
これはあひだの日の色、暁の軍の天幕、或は洗濯物の風に乾く中庭の色に候。砂漠の縁の細き塵に着き、乾きたる水路に沿ひて走る道に着き、畑の費やされて揺らめくときの収穫に積まれたる茎に着き候。鉄道の車の隅に巻かれたる旅人の上衣、遠くより送られたる紙に包まれたる包み、熱き風の中に曲る高き草の色に候。砂色はそれらのすべてに御座候。
今日、貴殿は頑丈なる香草の根より土を削り、指のあひだに押し、砂の生存に語るやうを感じ候。空気の開きたる窓を過ぐるを任せ、旧き手紙の隅を持ち上げるを見、紙の時にて柔らかくされたるを見候。頑丈なる靴の対より塵を払い、貴殿の越え来たりたる地を思ひ出し候。瓶より水を注ぎて置き、休ませ、希望の再び動く前の間を尊び候。
今日の色は砂色に御座候。
Lucky Color: Khaki — #F0E68C乾季は自らの約を持ち、待つ間にも星は残り候。