古き牌は半ば転じ、骸骨の王は前へ騎ることに失敗し、去年の草にて重き野の中に止まり候。かつて費やされしものを切り去るために鋭かりし刃は、忘れられし果樹園の縁に怠りて下がり候。痩せたる一方の手にて、冠は残り候。曇り、窪み候へども、決して置かれず候。地平は朝をほのめかし候へども、影は長く強情にて、手放すことを拒み候。ここで空気は涼しく厚く、旧き雨の香りは平らなる川石と柳の低き枝に纏ひ候。過去の集まり、動くことを肯んぜぬ場所に候。その空の色は薄墨に御座候。
北方の沼沢の傍らに村があり、屋根は粘板にて葺かれ、今は去りし手により一つが別の上に置かれ候。毎朝、霧は沼より転がり入り、小道を沈黙に呑み候。地は季節を通して湿りたるまま、幾世紀に磨り減らされし名を負ふ墓石の足の周りに巻く苔を養ひ候。名は風と、時折の教会の鐘とのみに語られ候。小家の内にて、鉄の藥罐は竈の上に休み、その表面は年月の冬の火にて印され候。丈夫にて屈せず、母より娘へ渡さるる類の鍋にて、棄てることを拒み候。
ある日、雲はあまりに低く押され、天井と成り、その腹は煤にて擦られしやうに候。荒野の牧人は、嵐の東より来たり、群れを古き立石の下の庇ひへ追ひし時を思ひ出だし候。雨の止むときも秘密を保つ遺物に候。町と町のあひだの道、かの古き羅馬の道は、果てのなき足跡に鈍らされし小石に縁取られ、その物語は年月の重みの下に鈍り候。これは、名誉のためには御座なく、誰もそれらを掃ひ去ることを選ばざりしゆゑに、遺物を近く保つ国に候。
屋敷の倉にて、忘れられし遺物は塵を集め候。久しく死せし兵士の兜、掻き浄められざる溶けし蝋の燭台、かつて儀式の荷を負ひ候へども今は蛾のみを守る毛皮裏の外套に候。これらのものは日光の届かぬところに保たれ、召使のちらりともせず過ぎる隅に候。野にてさへ、犁は時に金属に当たり候。古き犁刃の折れ、地の下に残されしところにて、今は掘り起こされ、ただ再び脇へ置かれ、その用途は不確かにて候。同じ気後れは、伝統と習慣の線を暈し候。婚儀はなほ、意味を思ひ出だす者の少き詠唱に響き、麺麭は別の時代の火に黒くされし窯にて焼かれ候。
かかる天候に覚むる人は、暁に川岸まで歩き、平らなる石を表面へ飛ばし、響きを聞き候。日の新しきことを証すためにのみ候。炉より藥罐を取り、それを磨き、手は変はることを記憶し候へども、次なるもののための場所を作るには、あるものは手放さねばならぬことを記憶し候。机の引き出しに保たれし古き手紙を集め、火へ戻す前に最後に一度声に出して読むことは、価あり候。時に、兜、燭台、あるいは使い古したる外套へ沈黙の礼をなし、次いで倉より顔を背け、窓を広く開き、あるだけの光を入れ候。
今日の色は薄墨に御座候。
Lucky Color: DimGray — #696969優しき終わりと静かなる勇気の日にて、古き冠をつひに休ませ候。