Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 死

死の鞍茶。中央の鏡に色が映る絵

鞍茶

逆位 · #8B4513

牌の上にて、骸骨は騎り候へども、野は倒るるを拒む茎にて厚く、青ざめし手の握りの中に古き冠は煌めき、決して脇へ置かれず候。地は足元に待ち、受け取る用意にて候へども、播きは遅れ候。休らひがあり、空気には落ち着かぬ強情が御座候。日は地平を縁取り候へども、夜は滞り、その長き影は納屋と轡の上に伸び候。この強情なる拒絶にて、生はすでに過ぎたるものにすがり、習慣の形を土へ押し候。鞍の革の色は鞍茶に御座候。

丘のどこかにて、馬は鞍を一夜残したるまま待ち、腹帯はなほ緊く、革は体重の移るにつれ軋り候。雨は来て去り、道を泥にし、蹄の掻き回ししところに壌土の香りは昇り候。鞍は、年月の旅の傷を負ひ、越えし川と転じし季節のそれぞれを記憶し候へども、今は取り除かれ、皮の息づくべき遺物に候。されど持ち主はためらはひ、見慣れたる重み、変はりの掃ひ過ぎし前の世の記憶に慰めを見出し候。

炉にて、焙りたる栗の鉢は卓の上に冷え候。去年の秋の殻にて、ほとんどの食されし後も久しく木の箱に保たれ候。火は低く、世代に滑らかに磨耗せし柄の火掻にて世話され候。外にて、風は雨戸を揺らし候へども、内にて古き馬具は戸の傍らに下がり、厚き革紐と、落葉と雪解を通して何里も歩きし使い古したる靴とに候。これらは、働きのためには御座なく、運ぶ物語のために、過去の温みの握りを緩むることを拒むために、抱かれしものに候。

野にて、団栗は去年の落ちより散り、半ば土に埋まり、あるものは芽吹き、あるものは眠り候。樫の空洞の栗鼠の貯へは、冬を通して忘れられ、持続を語り候へども、完了せざる巡りのことも語り候。向こうの果樹園は過ぎし収穫の傷を着、剪られし枝と切り株はなほ空を求め候。樹の下、地は茸の香りを抱き、久しく食されし果実にて重き籠を運び、押し下げし靴の記憶を抱き候。終わりはここで抗はれ、節くれ立ちたる根がありしものにすがり候。

人の手もまた、ためらはひ候。職人の台は道具にて混み候。木槌、錐、決して繕はれざる壊れし轡に候。馬具部屋にて、鞍は用ひられず下がり候へども決して浄められず、かつて油と労働にて煌めきし皺に塵は落ち着き候。過去は慰めにも枷にも候。明日の約束は、昨日の灰を掃ひ去ることを拒むことの後ろに隠れ候。心は古き恨みを巡り、失はれし論を繰り返し、冠を渡す代わりに保ち候。

今日、貴殿は戸の傍らにあまりに長く坐しし一足の靴を風に当て、忘れられし鍵と受取の引き出しを空にし、あるいはつひに小屋に下がる古き鞍へ油を差し候へ。食料庫より栗を集め、緩き熱の上に焙り、あるものを隣人へ供へ候へ。炉を掃き浄め、石段より暁を見、久しく閉ぢたる空間を空気の通るに任せ候へ。

今日の色は鞍茶に御座候。
Lucky Color: SaddleBrown — #8B4513貴殿が手放すとき朝は来り、古き根の下に新しきものは待ち候。

死へ戻る