柱の広間は静かに立ち、腰掛は空に候。秤の均衡すべき所、通風のみが動き、幾週も鞘を離れぬ剣よりの淡き金属の香を運び候。塵は大理石の上に不均に集ひ、怠られたる隅へ沈み、席を空けし判者の靴の輪郭を辿り候。澄みと秩序のために築かれし部屋は、沈黙にて空洞と成り、解決の記憶そのものが失はれたるが如くに候。机の上に積まれたる法の書は、互いに寄り、背は割れ、頁は判決にてではなく時と待ちにて印され候。小槌、かつて決を句切りしものは、用ひられず坐り、昨夜の露にて湿り候。部屋の色は薄墨に御座候。
この答へられぬ在席への呼びは、都を横切りて響き候。古き石より築かれし町にて、擦れたる階は役所の戸へ導くも、今は誰も予定せぬ修繕のために閂を下ろされ候。頭上、空は低く懸り、決して十分には開かぬ雲の覆ひ、持続する特徴なき霧雨にて屋根と街を押し候。かかる日、世界は行のあひだに止まり、過程は始まるも解決せぬ境界に捉へられたるが如くに候。法廷の猫、常には柱のあひだを走る狡き蔭のものが、腰掛の下に蹲ることを選び、目を半ば閉じ、来ぬ動きを待ち候。
他の所、地の地平に遇ふ平原にて、人は消えし判者と、誰も論を定めざりし歳月の物語を思ひ出し候。畑は昨季の刈株にて休ませられ、柵は、決して来ぬ測量の者を望むが如く傾き候。十字路にて、古き鉄床は立ち候。かつて蹄鉄師の商の中心、今は外に残され、朝の湿りと過ぐる風の細き砂の被りを集め候。村人は見ずに過ぎ、論は抑えられ、約束は守られず候。槌、かつて馬蹄か鋲を形づくるために挙げられしものは、釘に掛かり、触れられず候。
厨にて、鉄瓶は竈の上に坐り、沸きにも冷えにも御座なく、歳月の手と湯気にて側面は鈍くぼやけ候。上の煙管、煤にて印され、目を梁へ上げ候。蜘蛛の巣はすべての淡き通風に揺れ候。古き茶瓶と焼皿、用と洗ひにて曇りし面は、後ろの棚に休み候。食料庫にて、扁豆の袋は割れ、中のものは零れ、米の粒と昨年の収穫の微小なる小石のあひだに散り候。掃き、繕ひ、裁く導きの手の不在は、部屋のすべての隅に感じられ候。
正義の定かなる拍子なくして、世界は鉛の如き朝の静けさを帯び候。橋は川に架かるも、渡られず候。外套は戸棚に掛かり、裏は、時に家へ戻らぬ主を待ちし歳月にて柔らかく擦れ候。工房にて、大工の鉋は半ば形づくられし卓の脚の上に休み、削り屑の巻は、結論に達せぬ裁判の零れぬ秘の如くその周りに集ひ候。
今日、貴殿は炉を掃き、食料庫の床より散りし扁豆を集め候。厨の戸の緩き蝶番を繕ひ候。あるいは工房の古き道具を磨き、手にその目的を思ひ出させ候。空の重く屈せぬならば、雲の下を緩く歩き、なされるを待つ決の響を聞き候。
今日の色は薄墨に御座候。
Lucky Color: DimGray — #696969小さき行は空しき所を満たし、世界の世話さるる時、正義は戻り候。