古き牌は、石の祭壇の基に二つの姿を示し、それぞれ首の周りに緩き鎖を持ち候。松明は燃ゆるも捕へず、角ある存在にて高く持たれ、その翼は決して動かず候。空気は厚く動かず、鎖されたる者に最初の一歩を取ることを敢へさせるが如くに御座候。されどこの時、張りは去り候。鎖はほとんど圧せず、記憶にわずかに勝るのみに御座候。姿は坐り、動かず、馴染みと成りたる輪を指にて辿り候。去り得るも、留まり候。
洞窟を離れ、朝霧の残る谷にて、細き草の列が丘を覆ひ候。その香は重く、露とともに昇り、古きもの、貴殿の室内まで従ふ匂ひに御座候。ここに、農人は作物のあひだを遅く歩き、茎を撫で束を切り、手にて編まれたる籠に置き候。急ぎは御座なく候。仕事は静かに唸り、動きの一つ一つが瞑想、前の世代より学びたる張りの小さき解放の如くに御座候。石の小屋の隅にて、乾きたる茎は梁より掛り、室を静けさにて満たし候。湯気は竈の上の薬缶より昇り、浅き鉢に置かれたる茎の群れの上を転がり候。室は馴染みの香にて満ち、優しく執念ある存在に御座候。
普羅旺斯の古き市にて、束は整ひたる金字塔に積まれ、紐にて結ばれ、蛾と落ち着かざる眠りとに対する慰めとして差し出され候。商人の手は仕事より染まり、指先は油にて色づき、袋と枕とを並べ候。不安なる心のための最も小さき慰めに御座候。かつて、これらの丘は戦争と疫病とを知り候き。されど常に畑は戻り、忍耐して回復し候き。村全体が空と成り、同じ丈夫なる茎の列の中に再び生まれたる物語が御座候。そのたびに、収穫は戻り、地そのものがいかに再び始むるかを記憶するが如くに御座候き。
旅人は平和を求めて来候。ある人は、乾きたる花弁にて満たされたる寝具の客舎の一夜のために、ある人はこの草の精にて甘くされたる蜂蜜の鉢のために御座候。風は畑の上を遅く動き、決して苛くは御座なく、新しき芽を誘ふ優しき雨を運び候。ある年、収穫は薄く香はより穏かに御座候。されど常に、小さき贈り物に足り候。石鹸の一塊、膏の一鍋、眠る前の手首の一滴に御座候。古き物語は、病める者の中を歩きたる癒す人を語り候。茎にて結ばれたる束を携へ、恐れたる者に、安らぎは夜明けとともに来ると囁き候き。
町にて、縫ひ手はこれらの畑を思ひ出させる布の反物を広げ候。作る衣の一つ一つは、田舎の静けさの跡を保ち、袖と襟とに縫ひ込まれ、肌の近くに保たるる静けさの約束に御座候。縫ひ箱に一枝を保ち、硝子の蓋の下に圧し、単純なる香草が人を悲しみに縛るものを緩め得るが如くに御座候。ある人にとって、香は記憶のみに御座候。ほかの者にとって、もはや締めざるものを手放す呼びに御座候。
今日、人は袋を床の上に掛くるか、丘の蜂蜜の匙を茶へ掻き入れるかに御座候。貴殿は、古き草の鉢の坐る窓の傍に立ち止まり、葉を撫でて香を上げ候。一枝を貴殿の外套の懐へ滑り込ませ、小さき内々の錨とす候。
今日の色は薄紫に御座候。
Lucky Color: Lavender — #E6E6FA古き鎖は滑り落ち、空気はすでに軽く候。