Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 旅人

旅人の天青。中央の鏡に色が映る絵

天青

正位 · #F0FFFF

旅人は縁に立ち、薔薇の柔らかき蕾を指の間に穏やかに持ち、小さき犬は踵にて舞ひ、先へ促し候。地はすぐ前にて落ち候。されど一歩はなほ軽く、気自らが前へ運ばんとするが如くに候。路は未だ印されず、世は未だ図にせられず候。伴ふは微風の囁きと、重みなき朝のみに候。肩には負袋の掛かり、内には昨日の皮ある麺麭、畳みたる布巾、磨きたる小石のあり候。開きたる心にて旅を迎へ候。日は前に広く伸び、頭上の大なる拱の如く限り無く候。

古の語りにて、旅人も夢見る者も、かかる閾にて一と息つき、空の形に導きを仰ぎ候き。古の水夫は、愛琴海の港より帆を上げる前に、顔を上の限りなき広がりへ向け、上の澄みが穏かなる渡りを約束すると信じ候き。絹の道にては、隊商の長は日の出の前に起き、天を、その日の横断を始むる招きとして読み候き。希馬拉雅の村人は、世の屋根に住み、世の新たにして澄みたるときに可能なるすべてのことを思ひ出さする静けさにて覚め候。大陸を越え、空は始まりの徴となり候。蓋なき、知れざるところへ踏み出す招きに候。

市にては、朝は己の儀を見いだし候。焙る者は他の眠るうちに起き、台に粉を散らし、生地を延ばし、世の明るくなるにつれ、最初の塊は開きたる窓の傍らにて冷え候。干し場にては、家族は朝食の前に亜麻布と単衣とを掛け、穏やかなる気の中に翻り、息づかせ候。新たに洗ひたる玻璃の器は窓敷に光り、変はる光とともに揺れて舞ふ形を映し候。これらの業には新しさあり、可能性の感のあり候。布も、鉢も、水注も、それぞれ新たに始むる秘事を帯ぶるが如くに候。

旅人の賜はこれに候。望みのほかに重荷を運ばず、あらゆる閾を約束の場と見候。伝説にて、恐れ無く出でたる者は、しばしば世が同じように応へ、曲がりごとに思はぬ幸を供するを見いだし候き。日本の漁師は、日々の出で立ちに備へ、夜明けに祈りを供へ、上の広がりが網を満たし、心を軽く保つと信じ候。静かな草地にては、子らは朝の湿りたる草を裸足にて走り、地平のわずか先に浮かぶ物語を作り候。

今日、貴殿はこの開きたる旅の心を迎へ候へ。夜明けに窓を開き、深く息し、早き気が思ひを新たにすることを許し候へ。明るきところに水の瓶を置き、目覚めつつある世の揺らめきを、その面の捉ふるを見候へ。亜麻あるいは木綿の一枚を卓にて伸ばし、新しき考へ、あるいは手にて書きたる記のための場として捧げ候へ。あるいはしばし外へ出で、眼を遠き穹窿に休ませ、なほ先にいかに多くのことのありやと、一と息の驚きたるを自らに許し候へ。

今日の色は天青に御座候。
Lucky Color: Azure — #F0FFFF晴れし始まりの兆しに従ひ候へば、一歩ごとに世は招かれ候。

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