教皇は神殿に坐し、衣を纏ひて整ひ、鍵は手の中に輝き候。足もとに二人の侍者は跪き、頭を古き仕方へ垂れ候。周りを囲む石の柱は数知れぬ年の溝を運び、受け継ぎし儀式の黙せる証人に候。今夜、古き模様は覚ゆらるるのみには御座なく、体せられ、世界の指示がこの聖なる場所を通る一歩の中に込められたるかの如くに候。
聖所の静けさの中にて、祭司の祭服は、硬く真っ直ぐに織られし絹の糸の瞬きを運び候。祭壇の上にて、石榴は裂け、種は磨かれし樫の上に転がり、一つ一つは規律と約束との物語に候。香は上へ巻けど、空気はまた、僧院に積まれし初秋の林檎の記憶と、果樹園の縁にて収穫せられて厳なる祈祷書の傍らの鉢に供へられし熟れし桜桃の蝋の艶とにて塩せられ候。これらのもの、古くして常なるものの一つ一つは、伝統の連続を印し候。手と心とを通じて渡されし仕方に候。
神殿の扉の向ふにて、世界は自らの確かめを供し候。京都の伏見稲荷の瓦屋根は、森を貫く幾千の拱にて立ち上り、導きを求める拝む者の黙せる行進に響き候。西班牙の中庭の夕の静けさにて、粘土の瓶が湯気立つ紅椒を加へし煮込みの鉢の傍らにあり、その香は経文を読むことのいづれと同じく足を地に付け、集まりし者に労と家とを思ひ出させ候。安那托利亜の村にて、子どもは絹の糸を手首に結び、不運を防ぐために祖母の教へし仕草にて、家の描かれし鶏が木の柱より鳴き候。
古き道は自然の世界にまで曲がり入り候。僧院の庭にて、一本の薔薇が遅く咲き、花弁は層をなして完全にて、狐は黄昏に茨を通り、毛は山査子に捉へられ、物語の夕の祈に巻くとまさに同じくに候。天候すら受け継ぎし仕方に屈し候。今夜、空は風あるいは温みを戒むるかの如く輝き、羊飼ひは畑にて止まり、夜の落ちる前に網と、集めし磨きし林檎とを確かめ候。
このすべてが今夜の手順と成り候。灯の街へ踏み出す前の襟巻の丁寧なる結び、熟れし赤茄子を切りて新しき麺麭の上に置くこと、蝋と希望とにて封じし文の折りに候。行ひの一つ一つは、いかに小さくとも、時を静かに遡る鎖の中の繋ぎにて、繰り返しと敬ひとによりて固くせられ候。この流れに入ることは、導かれかつ導くことを感じ、耐へる仕方を受けかつ伝ふることに候。
今夜、貴殿は銅の薬缶を磨き、水を竈の上にて沸くに任せ、あるいは輝く林檎を二つの手に持ち、同じことをせし前の手を思ひ候。紙片に祝福を書きて書の中へ挟み、あるいは黄昏に友と桜桃の鉢を分かち、続けむと願ふ一つのことを声に出して語り候。仕草の一つ一つは鍵にて、古くして新たに生ける順序の中の次の瞬間を開き候。
今日の色は赤に御座候。
Lucky Color: Red — #FF0000教皇の道は定まり、儀式は小さき受け継ぎの行ひの一つ一つの中に生き候。