大理石の柱のあひだにて、古き祭司は鍵の輪を上げ候。侍者は跪き、亜麻の頭巾は喉もとに整ひて集められ、手は祭壇の上に生ける声のいづれよりも長く休らひし、頁の折れし写本の上に折られ候。上にて、燭台は百合と鳩とにて彫りし拱の下に瞬き候。神殿の穹窿は初雪と同じく黙し、静けさは今夜の式の再び始まるあひだ、一歩と一音節との周りに曲がり候。幾世紀のあひだ、同じやうに始まり来たり候。
儀式のために貸さるる祭服はきりりとし、伝統の重みを解する手によりて縫はれ候。羊毛と亜麻とは煮られて紡がれ、幾代の着し衣に形づくられ、肘と膝とが祈の中に押ししところにて繕はれ候。この衣は蜜蝋と保たれし月桂の香を運び、洗ひ、乾かし、折り、砕きし薫衣草の袋の傍らに収むることの忍耐と柔らかき労とを語る清明さに候。
受け継ぎし仕方が今夜の手順と成り、麺麭は割られ、乳は磁器の瓶より細き陶の杯へ注がれ候。杯の一つ一つは淡く重く、陶工の轆轤の残しし最も薄き稜のみにて模様づけられ候。麺麭は、皮を木綿の布の上にて冷やし、集まりし者のあひだに分けられて分たれ候。これらは宴楽のための宴には御座なく、現在のひとときを過去へ結ぶ小さき精密なる仕草にて、毎冬僧院の屋根に静かに集まる雪が最も鋭き縁を厚くし和らぐると同じく確かにて候。
外にて、空気は鋭く乾き候。神殿の道は白墨にて縁取られ、線は今夜の行列のために引かれ候。印の一つ一つは意味を運び、古き写本を満たす骨と羽との模様に響き候。その向ふにて、景色は霧にて滲みし月の下に伸び、村は霜の柔らかき帳の下に休らひ候。畑は眠り、子羊は冬の納屋にて身を寄せ、その息は静けさの中に立ち上りて消ゆる雲に候。
内にて、儀式は家の世界のすべての隅に触れ候。祭壇の布は手織の一筋にて、その日の最初の光と同じく素にて明るく候。窓縁にて、一本の水仙が硝子の杯に立ち、花弁は緩み始め、清く忍耐強き甘さにて空気に香を付け候。固く茹でて割られし卵が、二つの手のあひだに分たれ候。平和と養ひとの古き印に候。
鍵は錠の中にて回り、式の終わりて神殿の閉づるとき候。祭司は蝋燭の消されしことを確かめ、しかる後に細羅の帳を扉の小さき窓硝子の上に引き候。外の夜は深く静にて、霙の静なる降りによりて削られ、片の一つ一つは敷石と藁との上に休らひ候。
今夜、貴殿は古き家の調理の書を開き、愛する者のために麺麭を形づくり候。亜麻布を整ひたる積に押し、朝のために傍らへ置く前に掌にて滑らかにし候。外を歩みて、和き天候の夜の静けさを貴殿の肩に定まらせ、あるいは遠き者へ丁寧なる文を書き、祭服と同じ意図ある世話にてこれを折り候。その日の幸は、単純なるもの、式なるもの、静かに耐へるものの智に従ひ候。
今日の色は白に御座候。
Lucky Color: White — #FFFFFF古き仕方は、今夜の鍵を保ち候。