水がかつて乾きたる岸に会ひたる境界にて、一対の瓶が休み、その内は空にて、その口はなほ空へ開き候。上なる星は残り、遠くして変はらず候へども、下の池は退き、その周りの地は細く平らなる石にて印され候。空気は薄く、草は引き候。静けさが縁を保ち、地はここに止まりたる流れの記憶を保ち候。その最後の薄き面が地の中へ乾くことに候。
このやうな池より遠くなく、高地か旧き丘の畳みかに、石切の家が横たはり、その仕事は路傍に積まれたる畝のある板に書かれ候。これらの石は地の深き層より割られ、炉と敷居とを築くために運ばれ、足の下の床と休息の上の屋根とを強くするに候。その面は日の光か夕の霧かを抱き、ある空の下、静けさを飲むやうに見え、緩き時刻のために蔵め候。これらの割られたる石の一つの縁に指を走らすことは、待つこと、堪へること、生の地を庇に形づくる辛抱を思ひ出すことに候。
旅人はかつて、これらの石の散りたる山を越え、長き涼しき暁を通じて尾根を追ひ候き。風の荒野と丘とを引くを聞き、天候の集まるを見候き。雲は低く押し、空気はあまりに静かにて羊と風に曲がりたる草すら息を止むるかの如く候き。開けたる広がりにて、霧は沈み、すべてを微かなる細き塵に包むことも候き。道を知る者は、ある静止を見守り候き。危きには御座なく、間を知らせる種類にて、次の出来事の前に世界が引き、地そのものが雨と澄みたる夜との記憶を保つことに候。
古き町にて、同じ硬き石より作りたる屋根は、天候に対して共に傾き候。その面は雨を導き、その縁は軒を庇ひ候。小屋はこの頑丈なる覆ひの下に編まれ、その炉は黄昏に光り候。炉辺にて、古き薬缶が据ゑられ、その側面は時と静けき用とにて鈍り候。それを世話する手は緩やかに動き、零さざるやうに注意し、各々の動きは旱か間かの季節に堪へるやうの教へに候。炉棚の上、名を彫られたる敷石が、水を運びたる幾代、与ふることと取り去らることとの両方を知りたる者の証人として立ち候。
都にても、これらの切り出されたる石は印を残し候。数へ切れぬ靴にて滑らかにされたる段、広場の床几、古き文庫の敷居が御座候。それらは固く立ち、日が霧雨をもたらすか塵をもたらすか、広場の混むか空くかにかかはらず候。その在りかは目立たず、堪へ、その上を過ぎたるすべての天候の記憶を抱き候。夜の澄みて都の静まるとき、石は上なる星の遠き閃きを集むるかの如く、その辛抱に響き候。
今日、ある人は敷居より塵を掃き、手に前の者の緩やかにして簡素なる労を思ひ出させ候。石板の一片を持ち入り、紙を押さへ、或は杯を休め、或は薬缶を五徳に据ゑて水の温まるを待ち候。石の床几か静けき屋根の上かに立ち止まり、池の縁の静けさと、水の退くときに要る辛抱とを思ひ出す場所が御座候。
今日の色は浅石鼠に御座候。
Lucky Color: LightSlateGray — #778899間に堪へ候へば星は常に上にあり、石の記憶は静かにて長きに御座候。