Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 塔

塔の茶。中央の鏡に色が映る絵

茶

逆位 · #A52A2A

塔が正位にて劇をなすとき、それは雷に打たれたる尖塔にて、石は崩れ落ち、変はりの力は突然にして否みがたく候。逆位にて、崩れは吊られ、砕けたる壁が落ちることを拒むかの如く候。緊張はすべての煉瓦に残り、塔の影はなほ空を切り候。内は旧き嵐にて空洞にされ候。雷の響きは褪せ候へども、空気は重く残り、灰泥と土と湿りたる材の香を放ち、長き不確かなる包囲の後の要塞の如く候。

古き都にて、過去の残りは層をなす壁に立ち候。粘土は煉瓦に形づくられ、木の型に沿ひて湿りたる土を塗りたる手にて、幾世前に焼かれ候き。これらの古き塊は残り、風と雨とに抗ひ、その面は掌の下に粗く候。そのあひだに破れたる瓦が散り、かつて穀物か水かを保つに用ひられたる器の破片と、労の忘れられたる道具とが横たはり候。柄は幾代の用にて滑らかに、その形は汗と必要とにて型どられ候。これらの塁の影にて、農夫は地の与ふるものを集め候。馬鈴薯は壌土の塚に芽を出し、栗は針の鎧にて森の床に落ち候。上なる世界が雷にて裂かるるときにも、風景は確かにて揺らがず候。

歴史は火か洪水かに呑まれたる都を覚え候。されど時に災は退き、土台は堪へ候。後にて、人は固きものへ帰り候。叩きの床、屋根を支へる胡桃の梁、去年の収穫の実にて満たされたる戸棚が御座候。静けき台所にて、手は頑丈なる卓の上にて生地を捏ね、焼きたる塊より香が上り、皮は硬くして温かく候。半田の縫ひ目にて繕ひたる陶器の一片が炉の上に坐り候。これらの物は生存を誇らず候。されど落ちざりしものの話を抱き候。

逆位の塔は、避くべからざるものの前の間にて、壁が未だ道を譲らざる瞬間に候。畑にて、木は風に対して低く蹲り、根は固く握り、古き腐植を縫ひ候。山にて、岩の道は斜面に沿ひて曲がり、長き雨の後、下の地は確かにて候。ここの世界は滑らかにも光るにも御座なく候。肌理あり、窪み、天候と用とにて染まり候。衝撃を吸ひ、記憶を庇ふ風景に候。

時に、天候そのものがこの静止を真似候。雲は頭上に積もり、降らざる雨にて重く、納屋と柵とを押し候。空気は泥炭と薪の煙の香を運び候。泥は足の下にて音を立て、旅人は風に身を入れ、靴は旅の証にて着き候。これらの瞬間に辛抱が御座候。敗北にても降伏にてもなき待ちに候。ひびが石を通して拡がるときにも、塔は立ち、その形を忘れることを拒み候。

今日、ある人は雨の後の畝のあひだを歩き、手袋の手にて湿りたる地より馬鈴薯を返し候。或は擦りたる仕事靴を繕ひ、底を革へ縫ひ戻し、もう一季節堪へさせ候。厚き土の杯に珈琲を注ぎ、その重みを感じ、熱の指に滲むを感じ候。栗の木の下の古き木の床几に坐り、針の殻を集めて割り、隠れたる甘さを取り候。これらは地に着くる所作にて、堪へたるものへ人を結び候。

今日の色は茶に御座候。
Lucky Color: Brown — #A52A2A確かさは静けき力を持ち、立つものはなほ築き直され候。

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