塔
XVI
正位
雷に打たれたる高き建物が御座候。塔は、高く積みすぎたる確実さが、一瞬にて崩るる牌に御座候。
崩るるものは、本当に全部には御座なく候。頂に置きたる冠、閉じたる窓、自らを高く保つための構造。それが落ちるとき、地面の方が正直に御座候。
今日のこの牌は、すでにひびの入りたる確実さに、自らの手にて窓を開くことを象り候。衝撃は、閉じたる部屋への通風にも御座候。
逆位
落雷の後に、同じ高さの塔をもう一度積まうとし候。あるいは、崩れを恐れすぎて、必要なひびまで塗り込め候。
塔が逆位となれば、変化は遅れ、内側に圧力は残り候。落ちるべき部分が、落ちる時期を過ぎてまだ屋根を支へ候。
今日のこの牌は、すでに落ちたる石を一つ、瓦礫のまま認めて片づくることを象り候。
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濃赤 嵐は待ち候へども日は保ち、割れざる地にて根は深く成り候。
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臙脂 嵐は遅れ候へども教へは残り、残るものより再び始まり候。
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茶 確かさは静けき力を持ち、立つものはなほ築き直され候。
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赭 土と時に形づくられたるものに辛抱強き力は隠れ、今日の所作は静かなる繕ひに御座候。
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鞍茶 変はりは近づき候へども、堪へたるものの中に確かさはあり、崩れは未だにて世話の時は残り候。
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砂色 空気は崩れを囁き候へども壁はなほ立ち、堪へたるものの中に身を潜め候。
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革色 風雨に堪へたるものを身に付け、古き塔をもう一日立たせ候。
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古白 古き形をもうしばし保たせ、間にて堪への形を見出し候。
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薄墨 傾くものもなほ立ち、沈黙の中にても鐘はその役を忘れず候。
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濃石鼠 未だ割れざる場所に辛抱は沈み、待ちの中に確かさを見出し候。