Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 塔

塔の濃赤。中央の鏡に色が映る絵

濃赤

逆位 · #8B0000

落雷が最も高き点を打つとき、最も速き下への道を求め候。されど逆位の塔にては、落雷は空気の中に掛かり、地に触るることを拒み候。石積はなほ立ち候へども、すべてのひびは戦きにて薄く拡がり候。風は砕けたる胸壁を吼えて過ぐれども、幟は場所を保ち、終はるやうには見えざる雨にて重く押され候。空が金庫にて、すべての分が息を止むる夜に候。地より見れば塔は割れざるやうに候へども、上にて灰泥は緩み、秘事を保ち候。

これらの壁の下、古き果樹園が育ち候。今は塵と成りたる手にて植ゑられ候き。古き石榴は、鎧の如く厚き皮にて、見えざる縫ひ目に沿ひて割れ開き、捻じれたる枝に着き候。その汁は下の石を染め、粘りて強く、緩やかにして頑固なる滴にて歳月を印し候。台所にて、銅の鍋は午後のすべてを煮え、搾りたる実にて満ち候。空気はその香にて重く、炉は低く燃え、何も吹き零れさせずして甘さを引き出さんとするかの如く候。厨は滑らかに擦られたる木の匙にて攪き、窓の先にて雷が柔らかく呟くあひだ、時を数へ候。

塔の周りの道は、古き戦にて形づくられたる地を走り候。土は覚え候。春にて、葡萄畑は木まで剪られ、蔓は樹液を流し、それは暗く秘めたる玉にて乾き候。葡萄酒の樽は涼しき窖に積まれ、丘に彫られ、移る地に対して支えられたる戸の奥に候。村の最も古き部分にて、革師の店は遠き谷より引きたる皮を扱ひ候。革の鞣さるるとき、香は深まり、近くしてほとんど金属の如く、仕事は閉ぢたる窓の奥にて日々続き候。嵐の集まり、街が雨にて流るるときにも続き候。

ある夜、空気が厚くして近いとき、空は割れざる嵐の約にて戦き候。人は本丸の広間に集まり、外套は戸の傍に掛けられ、靴は列に置かれ候。誰かは温めたる葡萄酒を土の杯に注ぎ、味は鋭く、夏の熱と古き土の鉄の味との記憶にて縁取られ候。旧き話は低き声にて語られ候。塔の落ちて誰も築き直さざりし年のことに候。されど今夜は塔は立ち、戸は閉ぢたままと成り候。外にて、日の光の最後は滑り去り、世界は近く押され、すべての壁が自らの沈黙を場所に保つかの如く候。

今日、貴殿は石榴の最後の粒を押し、指先を汁にて染め、その記憶の残るを任せ候。古き銅の鍋に丁子と実とを入れて煮えさせ、貴殿の前にありたる時とこの瞬間とを結ぶ香を吸ひ候。丁寧なる革師の作りたる帯か肩袋かを磨き、一針ごとに歳月の重みを感じ候。傘を開かず、嵐の雲の下を歩き、雷を聞き、塔がもうしばらく保つを信じ候。

今日の色は濃赤に御座候。
Lucky Color: DarkRed — #8B0000嵐は待ち候へども日は保ち、割れざる地にて根は深く成り候。

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