Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 塔

塔の金。中央の鏡に色が映る絵

金

正位 · #FFD700

夜は塔の上に、黙して最終の如く垂れ候。一生を費やして築きたる壁は、嵐の一筋がその弱きを見出したる瞬間に割れ開き候。かつて尖塔の上に確かにてありたる冠は、爆ぜる空気の中を転げ落ち候。窓は砕け、石は辛抱して居りたる場所より跳ね候。上よりの奔りは雷にて語り、内に封ぜられたる塵と秘事と古き野心は、世に会はんとて溢れ候。

山の深きより、川はかつて明るき石を地表へ運び候き。それらは凍る流れの砂利より篩はれ、冷えにて痺れたる手にて洞窟より引き出され、革の袋に入れて荒き国を越えて運ばれ候き。いづれの世にても、その明るき石は追はれ、隠され、溶かされ候き。王は厚き鉄の門の奥に財を蔵め候き。人は都の下の隧道を静かに動き、蝋の灯に瞬く鉱脈を叩きて探り候き。帝国の崩れたるとき、ある者は懐を満たして砂漠を渡り、日と野盗とを冒して、宝を保ちたるまま新しき地へ至り候き。沈黙の中、忘れられたる顔を打たる貨幣が掌にて転ぶことも御座候。杯の底にて指輪の光ることも御座候。それは喪失と幸運とを共に印し候。

嵐の来るとき、地そのものが割れ、下に隠れたる鉱脈は川岸に露はれ候。砂金を探る者は選鉱の皿と夢とを持ちて水際へ急ぎ、金の薄片の着くを望み候。家にては結婚の指輪が指より抜かれ、涙の落ちる前に皿の中へ静かに置かれ候。暗き部屋にては聖遺物の匣がこじ開けられ、聖人の遺品は引き上げられ、古き錠は遂に壊され候。祭の夜、子どもは店の硝子に顔を押し、滑らかなる記章の曲線と、首に掛くる小匣の閃きと、その内に抱く約とを慕ひ候。農夫は新しき井戸へ貨幣を投げ、雨と収穫とを乞ひ候。台所の抽斗にて古き家宝は待ち候。嫁入りに贈られたる頭文字を刻む食具は、曇りたるまま堪へ候。

雷の後の殺到は奪ひ合ひに御座候。崩れは選り分ける時を与へず候。隠されたるものは混沌の中に現はれ候。戦場にては冠が泥の中を転がり、それを被りたることなき他人が拾ひ候。都の路地にては歯の形をしたる金塊が麺麭と換へられ候。廃れたる礼拝堂の松明の下にて、誰かは傾けたる聖杯を見つけ、秘めたる貯へはこぼれ候。風は叫びを遠くへ運び候。得るべきものは御座候。見つけたる者のすべてが、その用意を持ち候には御座なく候。

露はれたるものは、再び隠し得ず候。形見の箱より貨幣を取り、歩きながら懐に入れて、一歩ごとにその重みを感じ候。壊れたる古き装身の片を溶かし、新しきものを作り、愛でたるものより身に着くるものへの移りを印し候。博物館を訪ね、硝子の奥の冠の前に立ち、歴史を旅したる話が沈黙の中に沈むを任せ候。戸棚を開き、古き匙を磨き、動揺の中にても堪へたるものは見つかり、元へ復し得ることを自らに思ひ出させ候。

今日の色は金に御座候。
Lucky Color: Gold — #FFD700崩れののちも貴きものは残り、廃墟の中にも光は残り候。

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