牌の月桂の花環は、通常は完全なる環に候へども、今は底にて開き、縫ひ目は結ばれざるまま、人の手は離れ候。古き物語にて、花環の環は勝利を封じ、あるいは巡礼を終わり候き。ここにてそれは半ば終はりたるまま待ち、最後の結びの直前に破られたる環に候。何かが空気の中に残され、到着の境にて止められたる息の如くに候。旅は遠く来たり候。河を越え、都を抜け、薄荷の生ひ茂る庭と、彷徨ふ者が地平を見たる長き路を通じて候へども、今、終わりが見ゆるとき、足元の地は変はり候。
北にて、人はかつて古き河床より割れたる石にて家を建て候き。これらの石は地より引かれ、打つ風より家族を庇ひ候き。爐は代の重みを帯ぶる板にて据ゑられ、家がもう一つの冬を耐ゆるといふ静かなる約に候き。雨の日、村の石板の屋根は巨き魚の鱗の如く輝き、内の温みを庇ひ候へども、住まふ者に空の近さをも思ひ出させ候き。世は完成に近づくとき、これらの屋根の下にて間を置き、雲は押し候。その石の色は石鼠に御座候。
鉱山にて、仕事は真に終わらず候。鶴嘴の柄は年月の用の後に滑らかにて、家と坑の両方の角に寄り候。働く者はその日の塵を靴に運び、黄昏に洗ふとき、盥の水は石の色に走り候き。これらは留まる道具、地を保つ道具、最後の一歩を急がざる道具に候。糸は切られず、手の帰りを待ち候。
厨にて、頁岩より成れる簡素なる皿と鉢は棚に休み候。食事は、流行を超えて残りたる陶器の定常の慰めにて出され候。卓は到着のために整へられ候へども、客は閾に留まり、窓は雨の約にて光り候。外にて、庭の薬草は石板の庭垣の蔭に育ち候。野の百里香は岩の破片のあひだに這ひ、植物は漆喰の減りたる隙に根づき候。空気は来たる天候の香を運び、日は日と霧雨のあひだに構へ候。
旅する者は、十字路の石板の板の値を知り候。坐る場所、あるいは境を印す場所として用ゐられ候。かかる標は、多くの者が旅を始め終わりたるを見、少なからぬ者が躊躇ひ、印を求めて風を読み候き。頭上の空は未だ澄まず候。嵐の後、石は緩く乾き、湿りより乾きへの移りを急ぐことを拒み、雨の記憶に縋り候。
今日、貴殿は雨の後に外へ出て、湿りたる石の面に沿ひて指を辿り、その涼しき忍耐を感じ候へ。平らなる石板に約あるいは計画を書き、私なる形見として貴殿の窓の近くに置き候へ。頑丈なる皿あるいは鉢を貴殿の卓に置き、貴殿の根を思ひ出させる食にて満たし候へ。十字路に石を見出だし、そこにて間を置き、その刻をして、旅が続くか待つかを決まらせ候へ。
今日の色は石鼠に御座候。
Lucky Color: SlateGray — #708090結びは未だ結ばれず候へども石は位置を保ち、世は定まらざる空の下に定常にて待ち候。