牌の四つの姿は、いづれも隅を保ち、環の花環が一方にて緩むを見候。月桂の葉はかつて緊く編まれ候へども、冠より落ち、踊る人の手は結ばるる前に結びの結び目より上がり候。こは未完の刻、全くは渡られざる閾に候。旅はほとんど終はり候。よく踏まれたる道は、下草と石の粗き境にて停まり候。
墨西拿の外の丘にて、収穫は樹に残り候。空気は潰れたる果実の香と、虫の唸りにて厚く候。ここにて橄欖の林は絡まりたる列に育ち、節くれし幹と銀の葉は幾世紀の日と風にて形づくられ候。籠は地に寄り、半ば満たされて手の帰りの待ち、網は落とされたるところの根に捕はれ候。交易の路はかつてこれらの果樹園と港のあひだを曲がり、油と木と苦き実の約は、わずかに届かぬところに候き。枝の下、古き帆布の野の上衣は倒れし枝に投げられ、昼の食事のために残され、衣囊は塵と半ば忘れられたる道具にて重く候。その布の色は灰黄緑に御座候。
北にて、庇卡第の生垣は壕の線を印し、灌木と野の草は年月の雨にて覆ひ育ち候。冑は路より見えぬ蔭に休み、兵站の係の靴は耕されたる畑の縁に跡を残し候。制服の布は田舎の記憶を運び、根と芝の圧にて染み、全くは磨かれず候。ここにも一種の待ちが御座候。半ば書かれたる手紙、送られざる手紙、来るとも来らざるとも知れぬ明日のために脇へ置かれたる麺麭に候。
丘と畑の向こう、厨は午後の静けさの中に待ち候。卓の上、凹みたる錻力の罐は札の褪せて、乳鉢と乳棒の傍に坐り候。内の橄欖は粗く塩辛く、雨と塩の記憶にて滑り候。誰かは木の柄にて果実の一把を潰し、緩く働き、音は厚き窓硝子にて曇り候。外にて風は立ち、庭の門は壁に当たり、泥に楔にて留められたる鋤の重みにて停まり候。兵の革囊は縫はれ繕はれ、扉の近くに寄り、押されたる葉と蝋を引きたる帆布の淡き香をなほ帯び候。衣架は肩巾を保ち、幾度の洗ひにて褪せ、油と年月の雨にて染み候。
庭の縁にて、天候は移り候。霧は生垣の近くに定まり、低き地に着き候。空は近く押し、空気は地平のすぐ向こうに待つ雨の約にて重く候。この間にて、世は完成と帰りのあひだに掛かり、牌の上の手が環の最後の結びの上にて躊躇ふと同じくに候。
誰かは家を出づる前に、野の薬草の一枝を書の頁のあひだに押し候。他の者は厨の灯の傍にて古き上衣の肘を繕ひ、忍耐の針にて当て布を縫ひ候。三人目は橄欖を冷き水にて洗ひ、夕の卓の支度となし、あるいは家の静かさへ入る前に靴より泥を拭ひ候。
今日の色は灰黄緑に御座候。
Lucky Color: OliveDrab — #6B8E23半ば結ばれたる花環、待ちたるままの収穫にて、世は全くは閉ぢず候。