Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 皇帝

皇帝の薄墨。中央の鏡に色が映る絵

薄墨

逆位 · #696969

玉座は広間の中ほどに立ち、形は屈せず、彫られて磨かれ、治むる者の手の温みには触れられず候。旗は落ちず候へども、隙間風にて波打ち、日の光の縁を褪せしめし深き跡を示し候。笏はかつて命令の印にて候き。今は臂掛けに寄り、塵を集め、表面は古き決と時の執拗とによりて滑らかに磨かれ候。これは習ひによりて結ばれし部屋にて、治の儀式は空しき響の上に進み候。皇帝の場所は空しく候へども、机は帳面にて積まれ、床は清く掃かれ、足音は測られて知られ候。

外にて、都の屋根は低き均一の列にて伸び、屋根板は数十年の雨と、遠き業よりの煤の忍耐の定まりとによりて鈍く候。石にて舗かれし道は、その黙せる間より広場へ真っ直ぐに至り、そこにて鉄の欄干は模様に巻き、鋭さは数知れぬ季節によりて鈍らされ候。早朝、霧は最後の外屋のすぐ向ふの畑の上に漂ひ、畝を隠すには薄すぎ、されど地平を滲まするに足るほどにて、地と空との境を和らげ候。雨の細く絶えぬ線にて降る日には、石板の瓦は滑り、樋は絶えぬ圧の下に音を立て、水は世界の緩き巡りにてその場所を求め候。

仕事場にて、鉄床はその中心に坐し、大きくして耐へ候。手の戻り、仕事の調子を待ち候。古き火の汚れは前掛の表面と、休ませて置かれし鎚の柄とに残り候。鞴はかつて筋肉によりて押されしが、今は扉の緩き枠より入り来る風とともにのみ動き候。音はなく、火花はなく、混沌より秩序を作りし記憶、定まりし掟に物を形づくりし記憶のみに候。低き棚に立てて開かれし帳面すら、今は目録のほかを記さず、道具とその最後の繕ひとの列のみに候。

家の後ろの庭にて、敷石は苔に押し入り、石の一つ一つは通過の記録、手入れせし薔薇と、薊の野生にて育つ区画との境に候。ここにて、垣の下に烏の羽のあり、頭上の争ひの後に残され候。古き鉄の色、火床を囲む石の色に候。一位の枝は捩れ、年によりて重く、所有の縁を印し候。多くの冬を見、身を避くる動物の爪によりて皮を刻まれ候。

景色はその用を決して捨てず候へども、もはや見通しには答へず候。村の向ふの山は影を畑に寄せ、輪郭は厳しく候へども午後遅くには褪せ候。最も高き稜にて、垣は直立して立てども塗は久しく失せ、板は習ひと境の記憶とによりて結ばれ候。

人は静なる部屋にて机の抽斗の真鍮の把手を磨き、その動き自らを目的となし候。道具あるいは書を完全なる秩序に並べ、用ふるためには御座なく、模様を損はず保つために候。夜明けに縁側を掃き、毎朝同じ筆の模様に従ひ、あるいは空しき椅子の傍らに静かに坐して、不在の形を敬ひ候。

今日の色は薄墨に御座候。
Lucky Color: DimGray — #696969空しき型も、自らの力を保ち候。

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