Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 女帝

女帝の蜜緑。中央の鏡に色が映る絵

蜜緑

正位 · #F0FFF0

女帝は、小麦と薔薇とに縁取られたる庭に坐し候。編みたる席の向こうにて、滝は静けき岸に沿ひて動き、果樹の根を養ひ候。庭は豊かさにて唸り候。騒ぎには御座なく、やはらかく均一なる調子に候。女帝の手の下に籠は休み、日の最初の収穫を抱き候。林檎、梨、重く割れる準備成り、そして甜瓜、今切り開かれたるものに候。皮は滑らかにて涼しく、内なる果肉はほとんど澄みて柔らかく甘く、豊かさは淡く静かにて、注意を求めて叫ぶことなき、といふ思ひ出に候。

安那托利亜の古き市にて、甜瓜を売る者は黎明に到り候き。果実は、色の見せびらかしのためには御座なく、熱の中のほのかなる涼しき質のために尊ばれ候き。乾きたる丘を越える遊牧の人は、切れを麻布に包み、腰に運び、真昼までに指は汁にて粘り候き。正しき朝、親指の下の正しき堅さを待つ耐心は、代々を通じて渡され候き。後に、欧羅巴を横切る僧院の庭にて、甜瓜は静けき隅に、薬の香草と柔らかき葉の萵苣との傍らに培はれ候き。尼はこれを細き弦月に切り、山羊の酪の鉢の傍らに整へ、回廊の涼しき真昼の食事とせられ候き。

水も、女帝に従ひ候。古き物語にて、草の上の朝の霧は「空の供へ」と呼ばれ、村人は早く起き、甘藍の葉と庭の網とよりこれを集め候き。この露は、やはらかく失ひ易く、季節の最初の芽を養ひ、後の果実を約するとせられ候き。世帯にて、開けたる窓の傍らに残されたる水差は、夜を通じてこの淡き湿りにて満ち、黎明に攀ぢ豆の根へ注がれ、あるいは麺麭に混ぜられる準備に候き。

女帝の賜物のあひだに、蜂巣が御座候。押され筋を成され、養蜂の丁寧なる手の運び入るる戦利に候。蜂は涼しき夜の後に立ち、翼は庭の賜物にて塵を被り、南瓜と胡瓜との中へ滑り、空気を柔らかく震はせ候。初夏に集められたる蜂蜜は穏やかにて、ほとんど透き通り、新しき草と、垣の下に隠るる小さき花との味に候。厨にて、匙の一匙は朝の茶に掻き混ぜられ、あるいは燕麦の菓子の上に塗られ、身体を定まり穏やかに保ち候。

ここの天気はやはらかく、熱くも寒くもなく、朝の柔らかき光は遅き仕事を勧め候。古き英吉利の壁に囲はれたる庭にて、世話する者はまず甜瓜の硝子覆を調べ、硝子を上げて最も淡き空気を入れ候き。どこかにて、母は晒木綿の前掛に手を拭ひ、朝餐を出すとき、布は昨夜の露の記憶を運び、綱より折られて涼しく候。

今日、人は真昼の前に新しき甜瓜を切り開き、そのほのかなる甘みを沈黙の中に味はひ、この豊かさを敬ふも候。水の杯を一夜、窓の近くに覆はずに残し、黎明に飲み、空気の最も柔らかき供へを味はふも候。貴殿の朝を、遅く丁寧なる手にて世話し、鉢の草に水をやり、あるいは洗ひよりなほ涼しき卓布を敷くも候。蜂の静けき動き、あるいは草の上の霧の移ろひを見る時を取り、周りなる柔らかき世を、足るものとさせ候へ。

今日の色は蜜緑に御座候。
Lucky Color: HoneyDew — #F0FFF0静かなる実りは、すでに朝の光に御座候。

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