Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 塔

塔の革色。中央の鏡に色が映る絵

革色

逆位 · #D2B48C

鋸歯の塔が遠きに生き候。ひびは側面を這ひ上り、空気は落雷の後に続く静けさにて厚く候。廃墟は未だ崩れ落ちず候。されど内にて、旧き秩序は自らの疲れたる重みの下に撓み候。下の人は嵐の真の影を見ず候。段を掃き、天候に対して戸を閂し、灰泥の緩むときにも立つものを要塞と呼び候。塔の影にて、地は伸び候。移る塵と踏みつけられたる草より成る低き平原にて、群れはかつて午後にその形を押し、地はすべての足跡の話を保ち候き。

近くにて、革師は開けたる場所にて働き、鞣す皮の香が風を縫ひ候。その手は胼胝にて、獣の皮を用あるもの、靴と前掛けと小袋と帯とに変へる古き業に巧に候。槽は地に据ゑられ、淡く擦られたる石にて縁取られ、労は待つことを解する者、朽ちより耐久を絞ることを解する者に属し候。革師の業は辛抱にて、洗ひ、削り、浸す儀式にて、廃墟の感あるものが永久に変はりつつも、再び全くして頑丈に成るといふ信頼に候。店の外に掛かる前掛けは、紐を結ひたるすべての手の話を吸ひ候。縁は裂け候へども、これらの衣は世界の鋭き歯に対する盾として役立ち候。静けき時刻、革師は柔らかく語り、その声は注がるる水と清く濯がるる皮との律に織り込まれ候。

町の先、平原は川岸へ転がり、野生の草は風の中にて共に傾き候。茎は乾き、強く、しなやかにて、季節を堪へつつ曲がり候へども折れず候。牧人は朝の淡き光にて群れをここに連れ、靴は塵を被り、外套は近く引かれ、獣に囁き候。羊は茎を鼻にて探り、去年の洪水の後に残るものを求め候。草は茂りには御座なく候へども堪へ、牧人は乾きたる束を休むための筵に結び、或は火より熾を家へ運ぶ籃を編むことを学び候き。幾世のあひだ、天幕はここに立ち候き。この平らなる地の柔らかき迎へと、夜に草が足音を消すやうとのために、この地を選びたる旅人にて張られ候き。崩るるものと堪へるものとのあひだにて、平原は息を止め候。

町にて、竈に麺麭が御座候。粉の塵は粗き仕事台を横切り、手が生地を捏ねるとき漂ひ候。塊は繰り返しと記憶とにて形づくられ、皮は厚くして頑固に成り、木の板の上にて冷ゆるとき音を立て候。子どもの手が一切れへ伸び、屑は地に転げ候。台所の卓は多くの洗ひを見たる布にて覆はれ、その布は幾年の用にて柔らかくされ候へども、なほ日の温かさを集むるに足る強さを保ち候。小さき日々のやうにて、上の梁の風に軋むときにも、家はまとまり候。

この延期と同じ歩みにて動かんと望むならば、貴殿は古き革帯を身に着け、木の匙を掌に合ふまで磨き、或は乾きたる草を集めて戸の傍の靴の下に敷き候。自らの手にて麺麭を作り、沈黙の中に留まる者へ一切れを供へ候。擦りたるもの、なほ立つものを世話するすべての行ひは、崩れに対する静かなる誓ひと成り候。

今日の色は革色に御座候。
Lucky Color: Tan — #D2B48C風雨に堪へたるものを身に付け、古き塔をもう一日立たせ候。

塔へ戻る