Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 戦車

戦車の赤。中央の鏡に色が映る絵

赤

逆位 · #FF0000

旅にて、羅針盤の回る瞬間が御座候。戦車の馬が反対の方向へ強く引くときに候。車輪は挫け、道は確かさを失ひ、前へはただ次の一歩に候。行き先には御座なく候。神話の嵌石にて、御者の握りは締まり候。されども手綱は絡まり候。獣は合意を拒み候。城門は後ろに退き、荒野は広く道なく開き候。古き羅馬の道を縁取る石は、熱を上へ押し候。導くには御座なく、動き、執念にして繋ぎを解かれたるものは、それ自体が仕事なることを旅の人に思ひ出させ候。

かつて、君士坦丁堡の市にて、商人は石榴を亜麻に包み候き。皮は引き締まり、それぞれの実は種子の小さき世界に候き。傍らに積まれたる血橙は遅き日に輝き、その香は秋の空気に鋭く候き。通り過ぐる旅の人は、飢えよりは御座なく、行ひそのもの、実を摘み、手の中に回すことが、方向を失ひたる日の中の決の一瞬を供へるゆゑに、手を伸ばし候き。町は帝国の十字路に候。常に落ち着かず候き。大理石の露台より垂るる旗は、東より吹き入る風に波打ち、行列や勝利を告げ候き。されどもしばしば、時の過ぎるを印すのみに候き。

草原にて、牧人は染めたる羊毛の帯を着け、腰に結び、糸は長き騎の塵にて斑に候。これらの帯は、受け継がれ、あるいは交易され、温みのためよりは記憶のために候。鉄の串にて肉の焙られし焚火への繋ぎ、灰の冷えし後も長く残りし物語への繋ぎに候。古き中国にて、四川の漆の工人は箸と椀を樹脂に浸し、仕上げは落ち着かざる客のために設けられたる卓の上に光り候き。かかる椀を厨より炉へ運ぶこと、旅の知らざる終わりにも拘はらず手を着実にすることは、到着と同じく、担ふ行ひを意味あると宣言することに候。

天候も、燃ゆる月には自らの旅をなし候。秘露の高地の村にて、乾季は塵の旋風と共に掃ひ、土の屋根を横切りて踊り、編籠に納められたる玉蜀黍を揺らし候。風は烈しく屈せず、村人を駆りて棚より唐辛子を引き、戸の上に花環に通させ候。これらの紐は空気の熱を捉へ、あらゆる窓の音を立てるときさへ、世帯の心の着実に打つを保つと言はれ候。

時に黄昏、英吉利の古き農家の女は、炉より煉瓦を引き候。昨冬の仕事に候。それを床に置き候。熱はゆっくり染み出し、明日の織のために羊毛を紡ぐあひだ、足を温め候。彼女は、かかる煉瓦を外套の下に運び、村より村へ動き、夜の庇は確かならずとも、温みは前へ運び得る、一里にても、と確かなりし兵の物語を覚ゆ候。

あらゆる物語にて、道は曲がり候。御者は獅子を導かず、牡牛も鞭に従はず候。なほ、動き、交易の道を横切り、市の店を抜け、風に投げられたる旗の下を行くことは、それ自体が労に候。問ひなき日への答に候。獣が合意を拒めば、旅の人は朝餐の後に椀を石榴の実にて満たし、家を出づる前に羊毛の帯を結び、あるいは楣の上に唐辛子の花環を掛くるもよく候。火にて焼きたる煉瓦を外套の懐に運び、その温みにいつ足を止むるかを決めさせるもよく候。これらは、方向の失はれたるときさへ続くものを敬ふ、小さき仕方に候。

今日の色は赤に御座候。
Lucky Color: Red — #FF0000温みをいくらか前へ運び、動きはなほ意味に候。

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