悪魔
XV
正位
鎖に繋がれたる二人が御座候。鎖は太く見え、輪は緩く候。悪魔は、自ら外せる輪を、外せざるものと信じたる状態の牌に御座候。
欲望そのものが檻には御座なく候。欲望に名を与へず、鎖の方を自らの本性と呼び候ときに、この絵と成り候。習慣、承認、物質、笑ひ。それらは道具にも檻にも成り候。
今日のこの牌は、首の輪に指を入れ、緩きかどうかを自らの手にて確かめることを象り候。
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黒 台座は手を定め松明は鎖を照らし、この陰影は掴むことには御座なく、見ることの色に御座候。
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臙脂 緩き鎖と定まりたる火と作り直されたる世界の中にて、貴殿は目の前を見る自由を持ち候。
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金 欲望は松明にて、それを握る手の向く方を照らし候。
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濃金 古きものは定まりたる手にて新しき意味を得、道具は形の上に、見ようとする意志に御座候。
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鞍茶 意志を轡にすれば、自由は貴殿のものに御座候。
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火赤 欲望は貴殿の手の中の道具と成り、鎖は落ち、道は見え候。
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赤橙 松明を灯し、縛るものを解き、勇気を煮出す一日に御座候。
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紫 欲望は挑みと道具として現れ、松明は燃え、鎖は緩み候。
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藍 欲望の道具は貴殿の手を待ち、道は古く、鎖は緩く候。
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黒茶 憧れの前にて森の心の味を運び、欲望を見れば鎖は緩み候。
逆位
鎖は見え始め候。あるいは、外したるはずの輪を、まだ首の形のまま歩き候。束縛に気づきたる後の混乱が来候。自由が急に広すぎて、今一度檻の方を懐かしく思ひ候。
悪魔が逆位となれば、気づきは解放の途中にて止まり候。気づきたる直後に自らを責むる物語へ移れば、鎖は形を変へて残り候。
今日のこの牌は、外れたる輪を拾ひ直さず、檻の外の一歩のみを歩くことを象り候。
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白 これは嵐の後の静けさにて、始まりの余地が御座候。
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銀 鎖は緩く表面は明らかにて、立ちて待つ拱を過ぎ候。
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薄鼠 静かなる明晰は人の思ふより自由にて、簡素なるものにて足り候。
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銀鼠 鎖は貴殿の思ふより軽く、支度の整ひたるときいつにても出で候。
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幽白 鎖は解け、朝は静かに御座候。
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薄紫 古き鎖は滑り落ち、空気はすでに軽く候。
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白緑 自由は最も小さき常の物より始まり、鎖は朝のあひだだけにても脇へ置き候。
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蜜緑 甘みはすでに手の届くところにて、最も優しき朝に鎖は自ら緩み候。
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亜麻 最も静かなる糸も、鎖は記憶のみと貴殿に思ひ出させ、新しき始まりは朝の光の中に優しく待ち候。
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象牙 鎖はすでに貴殿の手首より滑り落ち、影はもはや掴まず候。