高き構造が風に戦き、石は緩み候へどもなほ着き、秩序の形は純粋なる記憶にて保たれ候。石積の鋸歯の破れは、未だ血を許されざる傷の如く口を開き候。雷は遠き地平を染め、脅し、立ち止まり候。内にて、空気は塵と懸かりとにて厚く候。逆位の塔の世界にて、災は息を止め候。砕けは遅れ、形は頑固に立ちて残り候。落ちるべき要塞の話にて、壁は内にて灰泥の崩るるときにも、全きを装ひ候。
塔の麓に沿ひ、兵の靴の作りたる踏み固めの道は、幾世の警戒を語り候。地は平らに押され、鈍く押され、地を守れと言はれたる者の頑固なる記録に候。同じ地は、幾十年前、掘り起こされて塹壕のために帆布の袋へ詰められ、粗き布に押され、土そのものと混じるやうに考へられたる制服に形づくられ候き。遠き平原の高き熱にて、軍はかつて崩れの縁に立ち、染師の手の仕事と砂嵐の記憶とを繊維に帯びたる頑丈なる上衣の下、汗は体を伝ひ候き。布は用のためにて実際にて、堪へのために築かれたる第二の皮にて、枯れたる草か雲なき霞の中へ消ゆるやうに砂色に染められ候き。
他のところ、話は古き市へ遡り候。商人は青銅の秤の上にて固く織られたる布の反を量り候き。布は川岸と駱駝の道とを旅する商人に求められ、旁遮普より開羅へ、その先へと越え候き。季節風の外れ、道が粉と成るときも、商人は続き候き。その品は、兵を守りたる同じ織りにて、日と風とより護られ候き。家にて、女は息子と夫のためにその頑丈なる胴衣を刺繍し、指は鋭き小さき針にて刺され、乾きたる藁の香は仕事の床より上り候き。
同じ草を、崩れかけたる壁の縁に植ゑ、或は跪きてそれを抜き候へ。砂漠の縁にて回る石臼にて碾きたる麦より作りたる平き麺麭を味はひ候へ。風は古き畑より塵を運び候。台所にて、擦りたる細布の手拭を取り、温き麺麭を包み、市のために束ねられたる日に乾かしたる茎の滑らかさを思ひ出し候へ。静けき午後、傷みたる帆布の肩袋を取り上げ、貴殿の手をその面に走らせ、税関と関所とを通じたる旅を思ひ出し候へ。それは生存の常なる不思議のための器に候。
砂嵐が巻き入り、その息は熱く、その縁は束ねたる葦の列と、天幕の柱のあひだに張られたる防水布とにて鈍らされ候。空は懸かりにて重く候。大きなる崩れは未だ着かず候。されどすべての道具、すべての布の片、すべての穀物の一握りが、旧き形をもうしばらく立たせ候。集落は堪への色を身に着くることを学び、見えながら消え、生きるために最も要るものの名を主張するがゆゑに堪へ候。その色は砂色に御座候。
今日の色は砂色に御座候。
Lucky Color: Khaki — #F0E68C空気は崩れを囁き候へども壁はなほ立ち、堪へたるものの中に身を潜め候。